思わぬ展開となったzkSyncエアドロップ：36.7億$ZK トークンに何が起きたのか

zkSyncは、まさに「セキュリティがなぜ重要か」を思い出させる、あのクリプト特有の瞬間を迎えました。詳細を見ていきましょう。

準備段階：総供給量の17.5%にあたる$ZK トークンが市場へ

Matter Labsは2025年に36億7,500万$ZK トークンをドロップしました。これは総供給量の17.5%にあたります。目的はシンプル：ガバナンスの分散化と、実際にプロトコルを利用した初期ユーザーへの報酬です。イーサリアムのスケーリング競争で戦うLayer 2としては、なかなかのアピールです。

このエアドロップは特定の条件を満たした695,232のウォレットに配布されました。条件は以下の通りです：

• 少なくとも10種類のスマートコントラクトに触れていること（(トークン以外)）
• 5回以上のペイマスター取引を行っていること
• オンチェーンで10種類以上のERC-20をスワップしていること
• 流動性提供、またはLibertas Omnibus NFTの保有

クレーム期間：2024年6月17日 → 2025年1月3日。シンプルですね。

そして4月：1億1,100万トークンが消失

2025年4月。管理者キーが侵害され、sweepUnclaimed()関数が実行されました。その結果、1億1,100万$ZK トークンが突如として発行されました。当時の価値で約$5 ミリオンに相当します。攻撃者は未請求トークンのみを狙うという、ある意味「ピンポイント」の動きを見せました（(クリプトセキュリティにおいて封じ込めは重要)）。

良いニュース：ユーザー資金は無事でした。エアドロップ用コントラクトは隔離されており、メインプロトコルには影響なし。ただし、どれだけ「封じ込められた」侵害でも、市場が動揺すれば意味はありません。

マーケットリアクション：15～20%の価格下落

トークン価格は暴落。予想通りです。セキュリティ不安は常に強く影響し、とくにガバナンストークンが狙われると顕著です。メッセージは明確：管理者キー1つの失態＝システムへの信頼喪失。

これがLayer 2に示す本当の課題

zkSyncは依然としてイーサリアムのスケーリングに不可欠な存在。エアドロップは実際に活動しているユーザー層にトークンを分配しており、分散化の観点で非常に価値があります。しかし4月の事件は、セキュリティプロトコルに単一障害点があると何が起きるかを露呈しました。

Layer 2はスピードと効率が売りですが、ガバナンスレイヤーが侵害されると、ユーザーはより厳しい目を向けます。zkSyncにとっては終わりではありませんが、「基盤が盤石でなければ規模は意味をなさない」という教訓です。

より大きな視点

$ZK エアドロップはLayer 2普及の勝利でした。一方で侵害は痛手。両方が起こりました。zkSyncは強化されたセキュリティで前進を続けていますが、それが本物のコミットメントか、単なるダメージコントロールかは今後次第。いずれにせよ、この一件は他のL2が今後のトークン配布設計に影響を与えるはずです。