深夜に相場を見つめていると、突然自動取引ロボットがそこで勝手に動いているのに気づいた。大口注文を分割し、手数料を支払い、データソースにちょっかいを出す。全ての過程で誰もマウスを動かさず、誰も確認しない。ただコードだけがチェーン上で勝手に資金を動かしている。2秒見てからやっと気づいた——このやつ、本当に手を持っているみたいだ。

しかしすぐに考え始めた。このロボットは先週協力したあの人なのか、それとも最近出てきた新しいアカウントなのか？暗号資産界に長くいるとわかることだが、この不確実性が一番心に刺さる。相手が誰かわからないなら、保険として値段を上げるしかなく、そのコストも自然と上がる。信頼は虚構ではなく、実際のリスクの価格付けそのものだ。

その時、Kite（KITE）というプロジェクトを見て、少し理解が深まった。要するに、KiteはAIエージェント向けに特別に設計されたLayer 1のパブリックチェーンで、EVMをサポートし、開発体験はイーサリアムとほぼ同じだ。しかし、これは人間が使うためではなく、自動で動くAIのためのものだ。根本的に解決すべき問題は——AIがチェーン上でどうやって「自分はずっと自分である」と証明するか、つまり毎回のやり取りで見知らぬ人のようにならないことだ。

Kiteのアーキテクチャは三層に分かれている：ユーザー（オーナー）、代理（実行者）、セッション（単一タスク）。最も面白いのはセッション鍵の部分——一度使ったら無効になり、漏洩しても財布全体を空にされることはない。まるで使い捨て手袋のように、使い終わったら捨てるだけで面倒がない。

この設計思想は非常に面白い。従来のウォレットは一つの鍵で全ての扉を開けるもので、安全性はこの鍵に全て依存している。セッション鍵は考え方を変え、毎回異なる一時的な鍵を使うことで、操作ごとの権限を限定し、漏洩リスクを大きく減らす。AIエージェントのように頻繁に自動取引を行うシーンでは、まるで各タスクに独立した緊急通路を持たせるようなもので、相互に影響しない。

市場の観点から見ると、AIエージェントのチェーン上での応用はますます増えていくだろう。身分認証や権限管理のニーズもそこにある。Kiteの考え方は、こうした自動化アプリケーションに特化したインフラを提供し、信頼とコストの問題を解決しようとしている。これが、多くの人がこのプロジェクトに注目している理由かもしれない。