長鑫が上場し、いちばん胸を打たれたのは碧桂園の楊国強だ


1/ 長鑫、A株史上最大のテック株IPO。3年前に碧桂園が20億元で9.01億株を取得し、今日の時価総額は200億元超、10倍。だが楊国強は待てなかった。定価のまま持分を合肥の国有資産に譲った。
2/ 「これは運命だ」と言う人がいる。ふざけるな。これは貸借対照表だ。2021年に不動産が急転直下し、引き渡しを守る(保交楼)ことが泰山のように重くのしかかり、キャッシュフローが断裂した。やむなく“壮士断腕”。未来は押さえたが、旧世界のレバレッジに引きずり下ろされて取引の場から落とされた。
3/ 碧桂園はテクノロジーを見ていなかったわけではない。2018年に博智林を設立し、建築ロボットを手がけ、3000人のチーム、1300件超の特許。のちに飲食ロボットにも進出し、「天降美食」レストランを開店した。未来に全力で賭けたこともあったが、肝心の根っこはずっと不動産にあった。
4/ もっと皮肉なのは、2021年に長鑫へ投資した年、碧桂園の用地取得額はなおも3200億元超だったこと。左手は新世界の船のチケットをつかもうとしながら、右手は旧世界の賭博テーブルでall-in。これは戦略の失敗ではない。貪欲だ。
5/ 投資でいちばん難しいのは当てることじゃない。ずっと持ち続け、時代が価値を実現するのを待つことだ。そして「ずっと持ち続ける」という4文字の裏には、健全なキャッシュフロー、低レバレッジ、むやみに資金を燃やす“おんぶにだっこ”の事業がないことがある。楊国強に足りなかったのは視野じゃない。3年耐え抜ける貸借対照表だ。
6/ いま『消費拡大「第15次5カ年計画(十五五)」』で住宅を「耐久消費財(大宗耐用商品)」に入れ、自動車・家電と並べた。シグナルは十分に直球だ。住宅は投資商品から消費商品へ。これまで買っていたのは立地と値上がり期待、これから買うのは住まいとサービス。住宅で金持ちになる時代はめくり返された。
7/ 長鑫の発行価格は8.66元、総株数668.81億株。初期の流通株は6.73%しかない。板が極小で、感情が極めて増幅されやすい。予測はこうだ。寄り付き38〜42元、短期的に55〜60元へ触れる可能性はある。その後は波に乗ってじわじわ下がるだろう。発行価格割れは年内には不可能だが、マオタイやテンセントのような長期の“成長株”を再現するのは難しい。
8/ なぜ?計算してみる。株価が41.3元を超えれば、長鑫はA株の時価総額首位。54.3元を超えればテンセントを超える。211.8元を超えれば台積電を超える。対応するPERはそれぞれ24倍、32倍、124倍だ。
9/ 科創板の平均PERは約90倍。124倍に見えると不自然ではないように感じるが、忘れるな。世界のDRAMトップの三星、2位のSKハイニックス、前瞻PERはわずか6〜8倍。エヌビディアは27倍。長鑫は世界4位。製品は相手ほど尖っておらず、市場シェアも相手ほど高くない。さらに制裁で先進国市場の展開が制限されている。
10/ A株は90倍、韓国株は6倍。これは評価の違いではなく、2つの世界の違いだ。ひとつは感情に寄りかかり、もうひとつはキャッシュフローに寄りかかる。IPOを買って“新規に飛び乗る”のは愚か者合わせの博打であって、投資ではない。
11/ だがこれは長鑫を弱気で見ている話ではない。AIは歴史的な技術革命で、メモリはAIの基盤インフラだ。長鑫は中国のストレージ・チップの背骨で、長期的に価値がある。問題は、良いものにも値段があることだ。100倍のPERで強い景気循環型の会社を買うのは、信仰ではなくギャンブルだ。
12/ 一般の人にとって、このようなIPOで最大のリスクは“逃すこと”ではなく“高値でつかまされること”。歴代の超大型成長株は、上場直後は冷ややかな席に座ることが多い。マオタイ、テンセントが上場したときは、誰も殺到していなかった。頭を割られるほど奪い合われたのは、たいてい中石油だった。
13/ 碧桂園の物語と長鑫のIPOが語っているのは、同じことだ。時代がレールを切り替えるとき、手にしているのが違う資産であり、足しているレバレッジが間違っていれば、大きな巨鯨(メガ企業)でも倒れる。周期を見抜くことは、技術を理解するより重要だ。
TSM-1.73%
SK Hynix-9.61%
原文表示
このページには第三者のコンテンツが含まれている場合があり、情報提供のみを目的としております(表明・保証をするものではありません)。Gateによる見解の支持や、金融・専門的な助言とみなされるべきものではありません。詳細については免責事項をご覧ください。
  • 報酬
  • コメント
  • リポスト
  • 共有
コメント
コメントを追加
コメントを追加
コメントなし